パウル・クレー展を見てくる

京都国立近代美術館京都大学から十五分くらい。
クレーは最近ちょっと読みかじったので(宮下誠さんの本)、折角だから見に行く。10時に到着して、2時間半ほど見た。
一般は確か1600円程度の入場料。で、京大生は半額。とても得した気分になる。
クレーは現代美術。一般にはなんだかよくわからないように思われる絵も多く書いている。最初は展示室内が薄暗く、絵は思ったより小さく、見づらくて面食らう。少し見ていると慣れてきたが。
美術館に行ったのは、ずいぶん前に上野のダリ展に行った時以来と思う。ダリは比較的大きなカンバスに絵をかいていたが、クレーのそれは大きくてB4程度だった。まあ、展示されていないだけかもしれない。クレーがどんな絵をかく人なのか、正直まだよくわからない。
最初は自画像とか。なんかB5程度の大きさにささっと書いてあるだけで、おいおい、と思ったが、そのあとは色彩豊かな作品群が展示されていた。
クレーは絵が「本物の模写」であることを嫌っているのか人物を描くときは針金細工のようにデフォルメされたものを描く。初期は風刺画を描いていたようで、その延長線上という感じ。それだけだとなんだか落書きみたいだが、そこに色を入れていくと、それが素晴らしい。とても色彩感覚に秀でている。線で描かれているものが形骸化して浮き立っている分、見る者(つまり僕)の視点はその余白に彩られた空間に向かう。
クレーは1940年に死去している。第一次世界大戦のときは徴兵されたらしい。ユダヤ人なので晩年はドイツを追われ、故郷のベルンにアトリエを構えた。そういう歴史もあってクレーの絵画、とくに晩年のそれには当時のヨーロッパの空気が色濃く表れているような気がする。僕はその絵よりも、もっと別のことを考えていたと思しき絵のほうに共感したが。どうして晩年の、太い線を多用する絵を描くに至ったのかまだよくわからない。
美術館に行くなど衒学趣味、俗物根性もいいところと反発される向きもあるかもしれないが、別にクレーの絵が高級だとか考えているわけではない。2時間ぶっ通しで眺め続けると、何となく描き手のやりたいことがわかってきて(といって、うまく言語化できるわけではないが)ちょっと面白かったというだけ。それに、宮下さんの本ももう少し面白く読めるようになるだろうから。
あと、昨日の出来事で僕もそれなりに傷ついたのです。それを紛らわしたかった。

土曜日(昨日)は新入生のための特別セミナーがあったらしい。つい失念してすっぽかした。やってしまった…。頭がごちゃごちゃして、どこかで踏み外してないかとびくびくしていたが、ついに。反省。だいぶ落ち着いてきたと書いたが、まだまだ。

今日は家を掃除しようかと思っていたのに、やってないなあ…。