Don't stap me

クラスタで話題になっていた「STAP論文」を読んでみた。

https://sites.google.com/site/kyototekken2011/rejume/ke-xue-zheno-meng
https://sites.google.com/site/kyototekken2011/lun-wen/stap-xi-baono-xing-cheng

いやはや、こんな長文ご苦労様、というのが第一印象。
で、内容は。

は?

いったい、このひとは、何を言っているんだろう。
大前提として、STAP細胞は科学者の間で間違いだったことが認められている。というか、論文撤回の段階で既に「間違っていました」という合意はとれている。撤回した論文の中身をいくら主張しても撤回の事実は変わらない。この人は、自分が説明しなおせばNatureが納得して論文を再掲するって思ってるのかな。すごい自信だ。
でも、やってることは試験で落ちた学生が答案を書き直して「これなら正しい!」って言っているのと同レベル。というか、人様の答案をわざわざ書き直して提出してあげてるんだからよっぽどお人よしなんだね。
勝手に騒ぎを大きくしようとしてるなら迷惑もはなはだしい。こういう正義の押し売りをする人が、せっかく消し止めたボヤを大火事にしてしまう。煽られる方も煽られる方だけど、他人を煽ることにこんなにも熱中できる人間がいるとは、ネット民の裾野の広さを再認識した。

ちょっと読んでみた感想は、「分かってないなあ」の一言に尽きる。
まず、書いてあることの8割は教科書レベル。というか、教科書に書いてあることを論文まで当たって写してきたって感じ。まあコピペじゃないぶんレポートとしては評価できるけど、ふつうの研究者ならそれで?って思うだろう。でも何も知らない人がこれを読んだらなんだかすごいことがたくさん書いてあるって思うんだろうなあ…
こんなに調べたんだよ、すごいでしょ、って、それは余所でやってくれよ。わざわざ野次馬根性を他人に見せつけないと気が済まないのかなあ。

何が「分かっていない」かというと、他人の言ってることをいくら言い直してもそれは他人の言っていることにすぎないということ。こんなの小学生でもわかることだ。でも、すごくたくさんの人の言っていることをすごくたくさん言い直してるうちになんだか「新しいこと」を言ってる気分になるんだよね。特に人文系の人は。
特に偏執的な参照文献の多さには、困ったもんだとしか言えない。

科学の基礎を繰り返すなら、それが新しい事実かどうか?が問題だ。もし私が同じ内容を書こうと思っても、まず実際にやってみる。それで、こういう結果がでました、というのを書いて、もし気になる事実があればさらに追試する。そういう内容になっていなかったら、そもそも科学的な議論にならない。
つまり、極端な話が、実際にT細胞を弱酸性溶液につけてみて、どうなったのか、を書かない限り、そこには何も書かれていないに等しいのだ。
だから結論。ここには何も書かれていない。お疲れ様でした。

あたりまえだけど、人間のやることなんだから不正は起きる。悲しいけど、不正はゼロにならない。やるべきことは次は不正を犯さないこと、まず自分が犯さないことであって、不正を「不正じゃなかった!」ってもみ消すことじゃない。